おさだ精密工業

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自作、自作、自作、バイク、ときどき家族ネタ

KTM EXC 2017 キャブレター交換

【過去ネタの発掘】

 (しばらくは以前着手したものを気が向いたときにこっちに転記していく)

 

KTM EXCのキャブレターは2016年モデルまで

KEIHINのPWKが採用されていたが、

2017年モデルではミクニのTMXに変更された。

しかし、2018年モデルからはインジェクションに変更されており、

巷ではインジェクション化が間に合わなくて、

仕方なくミクニにしたんじゃないか?と囁かれている。

 

2017年モデルのEXCはそんな、ある種黒歴史的な運命を背負った年式でもある。

キャブレター最終モデル!(でもミクニだけどな!)みたいな。

 

まるでミクニってダメなの?という論調だけど、EXCにおいてはダメみたい。

海外のサイトを覗いてもボロクソに叩かれていて、

慌ててメーカーが改善版のキャブセッティング表をリリースしたりする顛末

だった。

 

実際乗ってみても、「え?これほんとに2stのレーサーですか?」という感じ。

はじめてオフ車の2stレーサーに乗ったど素人(自分)ですら。

 

[ミクニさん]

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[ケーヒンさん]

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 私もメーカーがどうしたかったのか?が気になって、

最初はTMXのジェット類を買い漁って交換してみたけど・・・

(ちなみにヤマハのYZ125XとかもTMXなので純正パーツである程度

セッティングパーツが手に入る)

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結局、パッしないままだった。

 

で、それまでのモデルがKEIHINだったんだし、

PWKのほうがいいんじゃねーの?となるわけで。

すっかりキャブレターの入手性も悪くなった昨今だけど、

やはり持つべきものは友と言うか、

「PWK36s持っている人おる?」って聞いたら

「あるよぉ~」と易々と絶版キャブレター、しかも未使用品を

ゲットできてしまった次第。

 

[PWK 36s]

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なお、キャブレターの全長も口径(インマニ側、エアクリ側共に)も

TMXと互換性があるためつけかえは簡単。

 

ただし、自分が入手したものには、パワージェット(ソレノイド)やら

スロットルポジションセンサーなど余計な(?)ものがついていたり、

キャブトップの形状が合わないので、都合に合わせて加工していく。

本ブログの趣旨にピッタリな題材。

 

まずはスロットルポジションセンサーキャンセラーから。

 

このソレノイドを・・・

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ニードル作り~の

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押しバネ買ってき~の

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ボディを削りだし~の

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蓋作り~の

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キャンセラー完成。

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パワージェットはCDIが所定のタイミングで

ソレノイドをOPENすると、ニードルが上昇して燃料供給路が

OPENし負圧で燃料が吸い出されるという代物。

これをバネで常時CLOSEする機構で対処。

 

したつもりだったけど、これが大失敗((笑)

 

想定以上に負圧が大きかったようで、

押しバネが負けて高回転域までエンジンを回すと、

ニードルが上がっちゃったみたいで

突然モォ~モォ~と走らなくなってしまう。

それほどパワージェットの燃料供給量って凄かったようで。

 

で、凝ったことせずにパワージェットを外してイモネジで栓をして終了。

最初からこうしておけば・・・

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お次はスロットルポジションセンサー。

これはスロットルの開度を検出するセンサーだけど、

センサーにバネが仕込まれており結構重い。

無駄に配線が出てるのも気に食わないし、こちらも撤去。

 

たんなる蓋なので簡単。

 

ブロックを切り出し

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フライスでガッーと。

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穴をあけて終了。

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液ガスぬりつつ組み込み。

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最後にキャブトップ。これはちょっと緊張した。

キャブレターから曲げパイプが生えている通称曲がりトップだったけど、

KTMはキャブトップにM6細目のネジが切られているタイプ。

 

緊張しすぎて加工中の画像がないけど、

パイプのカシメをドリルで揉んで取り外し、

そこにM6細目のタップを立てたスリーブを圧入した。

しかし、トップの穴がφ7くらいだったので、スリーブの肉厚は0.5mmくらい。

すぐに折れるかな?と思ったけど、圧入しているせいか結構頑丈。

ちょっと強めにコンコン叩いてズズ、ズズ・・・と入っていく

微妙な追い込みがむつかしい・・・

相手の内径もわかっていないし、こっちも外径をちゃんと計れないし。

まだまだ修行が必要。

 

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で、冒頭の写真のとおりキレイに収まるわけです。

フィーリングは?っつーと・・・

バイクに乗ることにかけては、超ど素人なのでうまく表現できる自信はない。

 

 

例えば山でヒルクライムしているときに、

「あ、失速する!」ってときに半クラで凌ぐと思うんだけど、

自分の場合、素人なので対処が遅れる。

そうしたときに、ミクニのときはパワーバンドに入れるのにワンテンポ遅れてモワァ~と

立ち上がってくるので、体制を立てなおせず失敗というケースが多かった。

 

これに対し、ケーヒンにしたところモワァとワンテンポ遅れてとかなく、

スパッとパワーがついてくる、欲しいときに立ち上がってくる

感覚は顕著だった。

 

これはキャブレターの口径がφ38→φ36に変わったことも影響しているかも

しれない。

口径が小さくなったことによってピークパワーは不利かもしれないけど、

流速は上がるわけで回転が落ちたところからの再加速時のリニアリティが高いのかなと。

 

KTMも昔はEXCにもφ38mmのキャブを採用していたけど、

最終的にPWK36に落ち着いたといことは、

エンデューロ用途ではφ36mmのほうが適していると考えていたってことだよね。

 

あるべき姿に戻してあげたっつーことで。

ミクニのキャブのときは自分の下手クソさも相まって、

何か乗っていてもモヤッとした感覚だった。

でも、KEIHINのキャブレターに換装してからは

そのモヤッと感も消えて乗るのが楽しくなったよね。

ヒルクライムで失敗したときとかもマシンは悪くないわけだし、

自分が上手くなれば行けるはず!という前向きな姿勢で挑むことが

できるようになったと言うのかね。

ま、失敗していることには変わりないので、傍から見たら

悲惨な状況になっているに違いないわけだけど。

 

ということで、これといったオチも無いけど、

PWK36s化でスッキリした、という話。