おさだ精密工業

おさだ精密工業

自作、自作、自作、バイク、ときどき家族ネタ

GASGAS EC250 サブチャンバースペーサ制作

【過去ネタの発掘】

 

サブチャンバー?

エンジンやらチャンバーについてうん蓄を垂れる気はないので

詳しくはググッて欲しいところだけど、

このご時世でもオフロード界隈には根強く

2ストエンジンが生き残っている。

その2ストエンジンの特性を大きく左右するチャンバー。

マフラーの途中が膨らんでいるヤツ。

 

で、低速の扱いやすさを出すために、

一部の車種にはサブチャンバーが

排気ポート付近に実装されている。

 

↓の画像のセルモータ上の黒いカバーが

サブチャンバーの蓋。

https://2yrh403fk8vd1hz9ro2n46dd-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2017/05/2018-Gas-Gas-EC-300-Review-Enduro-motorcycle-5.jpg

ちなみに私のKTM EXCにはサブチャンバーはない・・・

 

 

サブチャンバーにスペーサー?

で、2年くらい前から日本でのシェアが

増え始めているBeta。

これの2stエンデューロモデルRR2Tに対して、

エンジンは共通だけど車体をコンパクトにして、

エンジンの味付けも低速側に振っている

X-trainerというのがあって。

betamotor.jp

 

こいつのサブチャンバーにはRRにはついていない

スペーサーがついている。

 

じゃ、RRにもそのスペーサーつけて、

RRも低速稼ごうぜ、みたいなネタが

一部のBeta乗りの間で行われていた。

wada-ya.jugem.jp

つまりイゴイゴするにあたって、

低速モリモリのほうがいいじゃん、

という話。

 

Betaは上記のとおりX-trainerのおかげで

メーカーが作ったスペーサーが

あるのでそれを買えば済む。

欲しがる人はこのスペーサーを2枚追加してたりもする。

 

GASGASのサブチャンバー

で、今回のお題のGASGAS。

こいつにもサブチャンバーがある。

https://2yrh403fk8vd1hz9ro2n46dd-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2017/05/2018-Gas-Gas-EC-300-Review-Enduro-motorcycle-8.jpg

 

けど、Betaのように都合のいい純正パーツはない。

海外にはあるみたいだが、取り寄せ方がわからない。

blog.livedoor.jp

 

で、そのGASGASに乗るお友達から

「Betaみたいなスペーサー作ってーなー」

という依頼があったのでいっちょ作ってみようかと。

 

 

アウトラインはガスケットから

作るっつっても何もない所からは作れないので、

ガスケットから形をとる。

スキャナで取り込めば普通に使えるレベルで

アウトラインの抽出が可能。

f:id:Osada-Komuten:20190407161724j:plain

 

15mm厚のスペーサーを、とのことだったので、

板をラフに切りとり。中もザックリ抜く。

 

またしてもドリルでコジって抜いたので

筆舌に尽くし難いほどの労力を費やした。

中に残っている島はチャック用。

ここをネジでステージに固定して加工を進めていく。

f:id:Osada-Komuten:20190407161748j:plain

 

加工開始

ステージを保護するためフィルムを張り付けて

f:id:Osada-Komuten:20190407161758j:plain

ステージに固定してフライス加工。

このために以前作成したサーキュラテーブルを改造。

固定機構をつけたのと、角度目盛りを追加。

目盛りは紙製(笑)

f:id:Osada-Komuten:20190407161812j:plain

 

加工の段取りを簡単に説明しておくと、

そもそも今回のようないびつな多角形を

汎用フライスで加工するのは非常に難しい。

 

なぜ?

ワークを左右に移動するXYステージと、

刃物を上下させるZ軸はそれぞれ手でハンドルを

回して動かすが、

それぞれの軸は直交しているので

90°に加工するのは簡単。

でも、45°とか60°とかに加工しようすると

一筋縄ではいかないのだ。

 

90°以外に加工する場合は一度ステージから

取り外して角度を変えてチャックし直す、

という作業を繰り返さなければならない。

 

で、それを解決するためにサーキュラテーブルがある。

ワークを任意の角度に回して固定できるので、

微妙な角度の加工もお手の物。

f:id:Osada-Komuten:20190407161823j:plain

f:id:Osada-Komuten:20190407161834j:plain

 

なお外周の加工だけなら

サーキュラテーブルを使わずとも

ワークを立てて加工する、という方法も考えられる。

バイスにチャックする際に所定の角度になるように

座面にブロックを挟んでワザと

斜めにチャックするのだ。

 

今回は内側も加工するのでそれもまかり通らない。

 

加工完了

ということで加工完了。

今回のように厚物を加工すると、

機械の剛性不足を痛感する。

チマチマ加工しないと、ステージが暴走するか、

ワークが吹っ飛ぶか、モータが過負荷でとまるか。

それもちょっとしたミスで。

 

それでも、素人が作った割には上手く

できたと思う。

f:id:Osada-Komuten:20190407161846j:plain

f:id:Osada-Komuten:20190407161857j:plain

f:id:Osada-Komuten:20190407161907j:plain

f:id:Osada-Komuten:20190407161917j:plain

f:id:Osada-Komuten:20190407161943j:plain

 

取付の儀

一品モノの加工は取り付けられるかドキドキするけど、

すんなり取り付けできて一安心。

f:id:Osada-Komuten:20190407162107j:plain

f:id:Osada-Komuten:20190407162006j:plain

 

f:id:Osada-Komuten:20190407162043j:plain

f:id:Osada-Komuten:20190407162054j:plain

 

で、どうだったの?

自分はビフォーもアフターも乗ってないので

わからない(笑)

でも依頼者には超満足いただけた。

 

ちなみにGASGASの2018年モデルなど、

セルモータが取り付けられている年式は、

スペーサーは15mm厚がギリギリ。

というかモーターのカバーも少し加工が必要かも。

 

それ以前のモデルならいくらでも(笑)、ぶ厚くできる。

というかこのGASGASのECは10年以上

エンジンの形状が変更されていないようで、

そこに驚き。

まぁ、途中、倒産して時間が止まっていたんだろうけど。

 

ということで、

長田工務店では他社種のワンオフパーツ制作も対応可能、

とか言ってみたりなんかしちゃったりして。