GASGAS EC250 サブチャンバースペーサ制作
【過去ネタの発掘】
サブチャンバー?
エンジンやらチャンバーについてうん蓄を垂れる気はないので
詳しくはググッて欲しいところだけど、
このご時世でもオフロード界隈には根強く
2ストエンジンが生き残っている。
その2ストエンジンの特性を大きく左右するチャンバー。
マフラーの途中が膨らんでいるヤツ。
で、低速の扱いやすさを出すために、
一部の車種にはサブチャンバーが
排気ポート付近に実装されている。
↓の画像のセルモータ上の黒いカバーが
サブチャンバーの蓋。
ちなみに私のKTM EXCにはサブチャンバーはない・・・
サブチャンバーにスペーサー?
で、2年くらい前から日本でのシェアが
増え始めているBeta。
これの2stエンデューロモデルRR2Tに対して、
エンジンは共通だけど車体をコンパクトにして、
エンジンの味付けも低速側に振っている
X-trainerというのがあって。
こいつのサブチャンバーにはRRにはついていない
スペーサーがついている。
じゃ、RRにもそのスペーサーつけて、
RRも低速稼ごうぜ、みたいなネタが
一部のBeta乗りの間で行われていた。
つまりイゴイゴするにあたって、
低速モリモリのほうがいいじゃん、
という話。
Betaは上記のとおりX-trainerのおかげで
メーカーが作ったスペーサーが
あるのでそれを買えば済む。
欲しがる人はこのスペーサーを2枚追加してたりもする。
GASGASのサブチャンバー
で、今回のお題のGASGAS。
こいつにもサブチャンバーがある。
けど、Betaのように都合のいい純正パーツはない。
海外にはあるみたいだが、取り寄せ方がわからない。
で、そのGASGASに乗るお友達から
「Betaみたいなスペーサー作ってーなー」
という依頼があったのでいっちょ作ってみようかと。
アウトラインはガスケットから
作るっつっても何もない所からは作れないので、
ガスケットから形をとる。
スキャナで取り込めば普通に使えるレベルで
アウトラインの抽出が可能。
15mm厚のスペーサーを、とのことだったので、
板をラフに切りとり。中もザックリ抜く。
またしてもドリルでコジって抜いたので
筆舌に尽くし難いほどの労力を費やした。
中に残っている島はチャック用。
ここをネジでステージに固定して加工を進めていく。
加工開始
ステージを保護するためフィルムを張り付けて
ステージに固定してフライス加工。
このために以前作成したサーキュラテーブルを改造。
固定機構をつけたのと、角度目盛りを追加。
目盛りは紙製(笑)
加工の段取りを簡単に説明しておくと、
そもそも今回のようないびつな多角形を
汎用フライスで加工するのは非常に難しい。
なぜ?
ワークを左右に移動するXYステージと、
刃物を上下させるZ軸はそれぞれ手でハンドルを
回して動かすが、
それぞれの軸は直交しているので
90°に加工するのは簡単。
でも、45°とか60°とかに加工しようすると
一筋縄ではいかないのだ。
90°以外に加工する場合は一度ステージから
取り外して角度を変えてチャックし直す、
という作業を繰り返さなければならない。
で、それを解決するためにサーキュラテーブルがある。
ワークを任意の角度に回して固定できるので、
微妙な角度の加工もお手の物。
なお外周の加工だけなら
サーキュラテーブルを使わずとも
ワークを立てて加工する、という方法も考えられる。
バイスにチャックする際に所定の角度になるように
座面にブロックを挟んでワザと
斜めにチャックするのだ。
今回は内側も加工するのでそれもまかり通らない。
加工完了
ということで加工完了。
今回のように厚物を加工すると、
機械の剛性不足を痛感する。
チマチマ加工しないと、ステージが暴走するか、
ワークが吹っ飛ぶか、モータが過負荷でとまるか。
それもちょっとしたミスで。
それでも、素人が作った割には上手く
できたと思う。
取付の儀
一品モノの加工は取り付けられるかドキドキするけど、
すんなり取り付けできて一安心。
で、どうだったの?
自分はビフォーもアフターも乗ってないので
わからない(笑)
でも依頼者には超満足いただけた。
ちなみにGASGASの2018年モデルなど、
セルモータが取り付けられている年式は、
スペーサーは15mm厚がギリギリ。
というかモーターのカバーも少し加工が必要かも。
それ以前のモデルならいくらでも(笑)、ぶ厚くできる。
というかこのGASGASのECは10年以上
エンジンの形状が変更されていないようで、
そこに驚き。
まぁ、途中、倒産して時間が止まっていたんだろうけど。
ということで、
とか言ってみたりなんかしちゃったりして。