おさだ精密工業

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自作、自作、自作、バイク、ときどき家族ネタ

Beta RR2T My2020のマップ切り替えスイッチホルダー製作

はじめに

私は気にしたことないのだが

とある方から

RRのマップ切り替えスイッチを

ハンドルに移植してほしいと。

 

画像は使いまわしだが

RR MY2020以降のマップ切り替えスイッチは

タンクのガソリンキャップあたりについている。

 

私レベルだと

「今日はコンディションいいから晴れモード」

「今日はマディだから雨モード」

程度にしか使い分けしないのだが

達人はシチュエーションによって

こまめにマップを切り替えたいのだとか。

 

そんなこんなで

このスイッチをハンドルに移植する

ホルダーを製作したときの話。

 

製作しただけで自分はつけていない。

 

設計検討

ということでこのスイッチをハンドルにつけるわけ

だけど裏からネジ留めになってる。

ハンドル部のスペースが限られているので

無駄に大きくもできない。

設計の自由度は低い。

 

スイッチの寸法をネチネチ計って

なんとなく形を決めていく。

 

んで、だいたいこんな感じかなと

図面を引き始めたら

「言わずもがなやけどできるだけ軽量化してや」

と依頼者より。

 

こうなるともう2Dでの設計では

厳しい。

ってことで3D CADで

強度(がありそうな形状)を保ちつつ

無駄な肉を削いでいく。

 

加工

旋盤もフライスも使うし段取り換えしまくりの

超めんどくさい形状になってしまった。

 

とりあえずブロックを切り出して

 

スイッチを固定できるようにしつつ

クランプ前後を合体できるように穴をあけて

 

そしたらハンドルに取り付けられるように

穴を掘って

 

 

そしたらあとはひたすら

無駄な肉を落としていく。

もう何をしたのか覚えてないくらい

段取り換えしまくった・・・

 

最終的に28gになった。

これなら十分軽いと言えるだろう・・・

 

完成

ということでハンドルに

取り付けてみた。

使い手は右側につけるようだが

私は使わないので取付できることだけ

確認するために空いていた左側につけてみた。

 

目的は達成できていると思う。

 

こんな複雑な形状の加工したことなかったけど

意外とうまくできたと思う。

加工面が汚いのはウチの機械の限界。

オモチャみたいなもんなので。

 

番外編

上記のホルダーは試行錯誤で

出した試作だったが

最終的に形状を最適化して

こんな感じになった。

 

兄弟車のクロストレーナは

純正でハンドルにクランプするスイッチ形状

なのだがそれに近い形状。

 

純正は樹脂製だがこちらはアルミ製。

なので重量は純正のほうが軽いが

いかんせん樹脂のため割れてる人も

ちらほらと見受けられる。

強度で言えばこちらのほうが頑丈だ。

 

形状は最適化したが肉抜きは

怠っていないのでほぼほぼ

試作1号機と同じくらいの重さになっている。

 

そのわりに作りやすくなったので

工数は半分くらいになった。

 

おわりに

ということで今回は

自分で使わない部品の

製作ネタだったが

加工が好きな自分らしい

内容になったと思う。

 

 

Beta RR2TのハンドルをZeta野崎バーに変えた

はじめに

純正のハンドル幅だと

狭いところで引っかかったりするので

カットしたいけど純正を

切るのはもったいない

ということで

ZetaのSX3 ZE06-754 FUMITAKA NOZAKI MODEL

通称野崎バーに変更したよというお話

 

形状の比較

Beta はトライアルバイクも作ってるメーカーだからか

エンデューロモデルのRRも純正ハンドルが

トライアル用みたいな形状をしている。

 

できるだけ近い形のものがよかったので

野崎バーを買ってみた。

 

引き?絞り?は野崎バーのほうが

ちょっと大きめ。

引きがないと手首が痛くなるので

これはありがたい。

 

 

ストレート部は野崎バーのほうが

ちょっと立ち上がりが遅いため

ストレート部が短い。

これによって、写真に写ってる

切るスイッチを流用したファンスイッチが

ハンドルにつけられなくなってしまった。

ストレート部が短いためスイッチ類を

思ったほど内側に寄せられず

カット量は10mmちょいになった。

カットした画像を撮り忘れてしまったが

770mmくらいなので、

まぁ常識的な幅にはなったかなというところ。

私はハンドガードにアチェルビスの

トライフィットを取り付けているので

余計にスイッチを寄せづらい。

普通のハンドガードだともう5mmくらい

つめても大丈夫だと思う。

 

取り付けた画像も取り忘れてしまったのだが、

写真を載せたところで純正との違いはわからないと思う。

 

高さの違いには注意

写真ではわからないが高さが純正よりも

10mmくらい高い。

取り付けてまたがってみると

鈍感な自分でも「うっ!」と感じるくらい。

なんか長時間乗ってると疲れそうで心配になる。

(実際はそんなことなかったが)

少しでもハンドル高さを上げたくない人には

お勧めできないので注意。

 

番外編

上述のとおり高さに注意なのだが、

ウチの師匠はその高さが受け入れられなかった人。

師匠はアンコ抜きもしてしまってるので

股がらせてもらうと自分のよりも

ハンドルが高く感じる。

結局野崎バーは見送り。

 

変わりに同じくZetaのSuper-Lowを買ったが

今度は低すぎて完全に泥沼化していた(笑)

もともと師匠は純正の形状が好きだったのだが

酷いコケ方をして曲げてしまったため

元にも戻れず困っていた。

 

このままだと自分の純正ハンドルが

奪われてしまいそうだったので

ハンドルアップスペーサーを作ってあげた。

今回は7mmアップだが10mmでも30mmでも

作れる。

 

 

これでなんとか落ち着いたようで

自分の純正バーは守られた。

しかしすごい突き出し量だ。

 

おわりに

ということで今回は画像が少なかったが

情報として

純正ハンドルから野崎バーに変える人は

・ストレート部ちょっと短い

・引きが少し大きい

・高さがちょっと気になるくらい高い

というところに注意が必要。

ということで。

 

Beta RR2T リアアクスルシャフトをアルミで製作

はじめに

ハード系エンデューロ

かじってる人なら

知らない人は居ない

ロッシさんこと高橋選手。

 

以前レース前の

ロッシさんパドック

ウロウロしてたら

ちょうどリアタイヤを交換してるときで

外したアクスルシャフトを

手渡しながら

「ホレ、持ってみ」と。

 

私も同じ車両に乗ってるので

重さはわかっているので

鉄製シャフトの感覚で持ったら

あまりに軽いのでぶん投げそうになった。

 

お知り合いの職人さんに

アルミで作ってもらったんだそうな。

 

ロッシさんの許可を得て

私もアルミ化したので

涙なしには語れない

製作過程のお話。

 

なぜアルミにしたか

ロッシさんは

トライアル出身のライダー。

トライアル車は車重の

軽さが特徴。

トップレベルの人たちの

物理法則を無視したかのような

動きはあの軽さあってのもの。

 

ロッシさんは

エンデューロマシンにおいても

軽量化を重要視しており

その一環として

アクスルシャフトの材質を変更

したというわけだ。

 

アルミにして大丈夫か?

アルミは鉄と比較して重量が約1/3。

↓が純正の鉄シャフト。390gなので

単純に同形状にすると130g程度になる。

約250gの軽量化になる。

250gは大きい。が、

そうも単純にはいかない。

 

アルミは軽いぶん

剛性が低いため。

まったく同じ形状にした場合

アルミのほうが3倍変形しやすい

 

強度と剛性という話になってくるが

難しい話はGoogle先生にでもまかすとして

要するにちょっと剛性弱くなるので

同じ形ではシャフトが曲がってしまうかも

という話。

 

そのため、

純正の鉄シャフトは中空のパイプ

になっているが、

アルミのほうは中身が詰まった

丸棒にしている。

ロッシさんも同じ形状だが

話を聞いた時点で3シーズン以上

使用しているが問題ないとのこと。

前例があれば安心だ。

 

材質

アルミは混ぜもので

耐腐食性や強度が異なる。

(溶接性なども)

今回のような用途には

できるだけ強度のあるものがいい。

ジュラルミンと言われると

聞いたことあるという方も

多いと思うが、

今回はそれよりも硬い

超々ジュラルミンを使用することにした。

 

アルミ界の中でもダントツに硬いが

そのぶんお値段も高い・・・

というか私のような

一般ピーポーだと

普通は入手も困難。

幸い知人に材料問屋がいるので

私は材料にありつくことができたが、

問屋だけに切り売りとはいかないので

2m単位でしか買えないので

ドキドキするほどの値段だった。

失敗したら「テヘッ」では済まされない。

 

そもそもウチの機械で作れるか

アクスルシャフトともなると

いつも作ってる小物とは

違って長い。

今回は270mmくらい。

ウチのオモチャみたいな

小型の機械だとサイズ的に辛い。

スペック的には心間350mmと

言われているが

心押し台に回転センターを

付けたりなんだりしていると

350mmなんてぜんぜんなくて

せいぜい300mmがいいところみたい。

それでもなんとかギリギリ

ワークをセットできた。

 

結構な切り込み量で

長いから切粉も大量に

発生する。

0.5mm切り込みすると

切粉もかさばって

すぐ詰まってしまう。

が、なんとか加工はできそう。

 

 

長物加工できるか?

こんな長いものを

作るのははじめて。

心押し台のセンターが出ていないと

先細りになったりと

トラブルが起こるので

慎重に調整。

 

で、狙いの径近くまで

加工してみたのが↓

 

加工してみた感じ、

10umも先細ってないようなので

なんとかなりそうなことはわかった。

 

文章で書くと1行だが

はじめての長物で

サイズが旋盤のストロークギリギリ

材料は超高価。

ときたもんだから、

筆舌に尽くしがたいほど

困難な製作だったのだ。

 

最後の難関、ねじ切り

長さに対応できることがわかり

径もそれなりに出せたが

実はそんなものはどうってことなかった

ということに最後に気づかされる。

M20のネジを切らなければならないからだ。

 

旋盤にネジキリ用の刃物をつければ

自由な径とピッチのネジを切ることが

できるが比較的難易度が高い加工であるため

今までやってこなかった。

 

なので試作の1本目はM20のダイスを準備して

気合と腕力で押し切ってやった(笑)

 

ただ、あまりにも厳しかったので

本番の加工ではネジ切りバイトを導入することになったが。

 

無事完成

命からがらネジも切れた。

パッと見はそれなりになった。

が、振れが出てたらオシマイ。

ホイールに通してみるまでは

ドキドキだ。

 

重量的には純正が390gだったのに

対し今回のは240くらい。

↓の写真はエンドプレートを付けていないが

25gくらいのプレートがつく。

ということで約150gの軽量化になっているわけだ。

数字だけ聞くと大したことないと

思われるかもしれないが

持ってみるとこんなに重さが違うのかと驚くほど。

 

緊張の瞬間

ホイールにシャフトが通るかどうか?

 

問題なく通ってホッと一息。

 

 

 

試作品は師匠に

出来たはいいものの

自分が作ったものが

実用に耐えうるか心配だったので

試作品は師匠に人柱してもらった。

 

ホイールの組付けも問題なく

数か月酷使してもらって

どうやら大丈夫そうだという確信が

持てた。

 

量産するはめに

こんな難しい(と私は思ってる)ものが

できたので嬉しさのあまり

Twitterで呟いたら

作って欲しいという人続出(笑)

こんなに作ることになってしまった。

決して作るのが簡単になったわけではないので

これを作るのに1か月くらいかかった・・・


自分のぶんだけアルマイト

作るだけ作って満足してしまって

数か月放置していたのだが、

ジュラルミン系のアルミは

実は耐食性があまりよくない。

アルミのくせに。

銅が入ってるからだとかなんとか。

とは言えずっと水に触れてるわけではないので

使った後にちゃんとメンテすれば

なんともないのだが。

 

ということで、

ちょうどアルマイト案件があったので

自分のぶんだけは

アルマイトかけてやった。

どうせ見えなくなるので

おしゃれ要素はない。


おわりに

アルマイトかけたので

ようやく組み込みかと見せかけて

まだ組んでいない(笑)

 

また組んだら追記する。

 

すでに世に出た兄弟たちで

問題は起こっていないので

強度、耐久性的には

問題ないのだろう。