KTM EXC 2017 腰上オーバーホール
腰上オーバーホール
先日、EXCの腰上、つまりシリンダーとピストンの
オーバーホールをした。
なお、今回は機械加工ネタはない。
よく見る「オーバーホールの手順を図付きで説明するよ」
っていうほど画像を取ってる余裕がなかったので、
【2年、約2000㎞山の中で使ったエンデューロレーサの
エンジンはこんなんなってたよ】
という感じでサラッと流していく。
掃除前
所詮2stエンジンなので構造は単純。
事前調査無しで行き当たりばったりでも
バラせると思う。
まずはヘッドから。
このヘッドは乗りはじめてから1年後に組んだもの
なのでちょうど1年使った状態。
なお、使用頻度は月1回山に入る程度。
「なんだ薄っすらカーボンついてるだけじゃん」
と思ったら大間違い。
0.1mm以上の厚みでカーボンが堆積している。
さらにカリッカリに焼き付いていて
除去するのに1時間くらいかかった。
ピストントップも同じくカリッカリ。
シリンダはキレイ。
さすがメッキシリンダ。
オフセットクランクのような気がするがどうか?
で、一番酷かったのが排気デバイス・・・
心が折れそうなくらいガビガビにカーボンがこびりついている。
なお、このフラップがアルミで出来ていることに驚いた。
排気ポートっつったらエンジンの中で
一番高温になるんじゃないか?ってところで
下手な材質だと溶けてしまいそうなものだが。
正直、2000㎞乗ったくらいで
この量のカーボンには驚かずにはいられなかった。
かたや自分よりも高頻度で3年乗ったエンジンを
オーバーホールした知人はヘッドもピストンも
ほっとんどカーボンの付着がなかったり。
この差はオイルの違いにあるのではないかと考えている。
このオイルがいいとか、あのオイルは悪いという話は避けるが、
次からはオイルを変えてみようと考えている。
こんな調子で乗り続けてたら排気デバイスが正常に
動作できなくなる日も近かったのではなかろうかと、
背筋が寒くなる思いである。
オイルの銘柄しかり、混合比も考えたほうがいいのかも、
と思うところもある。
オーバーホール作業を手伝ってくれた知人いわく、
オイルが薄いとバラしたときに湿りっけがなかったり
カーボンが焼き付きすぎてカピカピになる傾向が強いとか。
ここらへんは経験不足で全然語ることができないな。
今回の件を踏まえて次回、もう少し踏み込んだ話ができるように
気を付けてバイクと接することにしよう。
清掃後
作業時間のおよそ8割をカーボン除去に費やして
ようやくキレイになった。
ヘッドはちょっと妥協・・・
ポートの中も真っ黒だったけどなんとかキレイに。
これがなによりも気持ちイイ!
もう新品と言っても過言ではない。
交換したパーツ
オーバーホールしたからには交換したほうがよい
パーツもあるので列挙すると
・ピストンピン
・小端ベアリング
・サークリップ
余裕があるならピストンも変えたらいいんだろうけど、
結構お高い。
あと、ピストンピンをとめている
サークリップは死ぬほど硬い。
「どんだけ脱落を恐れとんねん!」と
突っ込みたくなるほど。
マイナスドライバ2本でコジリながらなんとか外したが、
外した瞬間ぴょい~んっとどこかに
飛んでってしまった(汗)
もちろん組付けるときも硬いので覚悟を決めておいてほしい。
コツをつかまないと本当に冗談抜きで組付けられないと思う。
両手が塞がってるしちょっとミスるとどこかに飛んでってしまうので
とてもカメラを構える余裕なんてなかったけど、
ポイントは切り欠きが水平に空いていないこと。(下図参照)
なので、クリップをラジペンで挟んで縮めて入れようとしても無理なのである。
ということで、
まずは下図赤丸の部分でクリップを溝に突っ込んでそこを親指で抑えておく。
絶対に飛んでいかないように強めに抑えておくよう注意。
そして、ラジペンの先っちょが切り欠きに入るような位置関係で
クリップを掴む。
当然水平に掴んでいないのでラジペンは滑って、
クリップは逃げようとする。
でも滑りながらもクリップは縮んでいるので、
滑っても構わずクリップを縮めていくと、、、穴にハマる。
と、思う・・・(汗)
腰上オーバーホールに使ったパーツ
きょうび、KTMのパーツも通販で購入して
宅急便で届く時代なので便利になったもんだ。
ということで、以下を購入すれば
最低限腰上オーバーホールできる。
54830232000 ¥4,688 数量2(¥9,376)
・ピストンピン
54830233000 ¥3,831 数量1
・小端ベアリング
54430034000 ¥1,596 数量1
・サークリップ
54030074000 ¥324 数量2 (¥648)
・ガスケットセット
55430097000 ¥4,154 数量1
まとめ
2年そこそこしか乗ってなくても使用条件によっては
目を疑いたくなるほどカーボンが堆積することがわかった。
リングやピン、ベアリングを交換するかどうかは別として、
定期的にエンジンを開けて排気デバイスを確認したほうが
良さそうだ、ということがわかった。
モータがデバイスを強引に動かそうとして制御部のトランジスタが
焼損するという事件が頻繁に起こるそうだ。
KTMの場合は機械式なので上記のような壊れ方はしないまでも、
性能に悪影響を及ぼすことは容易に想像できるので、
やはり定期的な清掃を心掛けたい。
それと、部品交換するにしても、
自分でやれば部品代2万円ちょいで
腰上オーバーホールができることがわかった。
国産ならもっと安くあがるのだろうが、
そこは外車を所有してしまったのだから仕方ないと諦めよう。
一応、エンジンというデリケートな部分の作業なので
自信のない人は保護者同伴で着手したほうがよいだろう。