はじめに
Beta RR2T MY2020を購入して5年が経とうとしている。
最初は、モデルチェンジしたRR2Tの情報がぜんぜんなかったので
自分が通った道をまとめておこうかなと思ってはじめた。
5年も経つと手を入れることもなく・・・ネタもなく・・・
と思っていたある日。
いつものように山で乗っていたところラジエータファンのスイッチを
ONしても動作していないことが発覚。いつからかはわからない。
原因を探っていたところ衝撃の事実が!
ほとんどすべての配線が断線・・・
家に帰ってファンが動かないのはもとより
他の電装部品もまともに動いていなかったので
これは断線しているなと、意を決して皮を剥いてみた。
すると、「何かが断線」ではなく、「ほぼすべての配線が断線」していたw
どちらかというと、セルスタータとキルスイッチの配線だけ生き残っていた。
保安部品すべて外しているので、
セルとキルが生きていれば気づかないのも仕方ないというもの。
切れていたのは、ステムの脇を通るあたり。
ハンドルを切るときに一番動くところなので
ここが断線している人、多いのよね。
ハーネスの構成確認
Betaをはじめとする外車はご丁寧にユーザマニュアルに
配線図が掲載されている。国産車だと優良のサービスマニュアル買わないと
見れなかったりするけど、ここらへんは太っ腹。
で、配線図を見てみると、
Betaはハーネスがざっくり、車体後方と前方に分けられており
それがシリンダーヘッドの上あたりで接続されている。
今回断線が発生している前方側のハーネスは
・保安部品
・セル、キル
・マップスイッチ
・ラジエータ冷却ファン
・発電系(ジェネレータとレギュレータ、12V)
上記のみで構成されており、
エンジンの制御(点火系)に関するものは一切ないことがわかる。
ちなみにいうと、
もともとバッテリレスだったものにセルスタータを追加したような構成であるため、
ジェネレータの発電系、レギュレータ、バッテリの12Vは
点火系とはバッサリ切り離されており、
ジェネレータの点火系、ピックアップの配線さえ生きていれば
キックや押しがけでエンジンが始動できる。
※オイルを分離給油にしている人はオイルインジェクタにも直流12Vが供給
されているのでヒューズが飛んだり、バッテリが弱ったまま走っていると
オイル供給が不安定になる可能性があるので注意
一通り配線図を追った結果、保安部品を一切外している自分の場合
前方側の配線はほとんど不要であることがわかった。
最初は切れているところを補修して復旧しようかなと思っていたが
ほとんど切れているものを補修するのは骨が折れるので
必要最小限のレーシングハーネスの製作を決意。
配線図的なものを描く
行きあたりばったりでは作れないので、
まずは必要な配線の本数と長さを割り出すために
配線図を起こす。
といっても電気的な知識は皆無なので
落書きレベルでとても「図」と言えるものではないが。
意外と分岐が多いので気をつかいそう。
コネクタの調査
次に、配線図より重要なコネクタの調査。
これが準備できないと、後方側のハーネスを切断して汎用のコネクタに
変更するはめになる。
はずした前方側のハーネスを見ると、
日本でよく見かけるものが大半だが、セル/キルスイッチ、
マップ切り替えスイッチは見かけない形状。
Twitter(現X)でボヤいてみたところMolex製のコネクタであることがわかった。
一瞬で情報が出てきてビックリ。
で、レーシングハーネスに必要なコネクタをまとめると下記のとおり。
国産のコネクタはすべて配線コムさんで手に入る。
Molexは我らがモノタロウさんで買える。
が、単品売りではなく、ハウジング10個とか端子50個とかの
単位になるので、1個作ろうとした場合材料費が高くつく。
とはいえ、RR2T乗り10人集めてみんなでレーシングハーネス作るってのも
大変でしょうw
私は友達がいないので、1人で端子50個買いましたよw
配線保護チューブ
配線をビニールテープでぐるぐる巻きにすると
やったことある人ならわかると思うけどゴワゴワになる。
それになんか素人臭くなる。
メーカ純正のハーネスなんかは黒いチューブに配線通してあるので
できれば同じような保護チューブを使いたい。
PVCとか配線保護チューブで探せば出てくるかなと思って
Amazonで探したらビンゴ。
これはあんまり他所では買えないので
配線触る人は覚えておいたほうがいい。
https://www.amazon.co.jp/dp/B09QRFD2DK?ref=ppx_yo2ov_dt_b_fed_asin_title&th=1
あと何気にテープもビニールテープではなく
できるだけ薄手のハーネステープを用意したほうが
作業性も仕上がりも、時間が経ったあとの持ちもいい。
以前つくばサーキットのフリマで見つけたハーネステープが最強だったけど
最近使いきってしまい、これに代わるものを見つけられていない。
配線の分岐
1本の配線を2本、3本に分岐することになるが
実現方法はいろいろあると思う。
自分は以前どこかで見かけたギボシ端子のメスを使用して
分岐するようにしている。
被覆もかしめるので曲げにも強いと思う。
このあと熱収縮チューブで絶縁する。
ここまで準備すればあとは作るだけ。
完成
ということで製作したハーネスがこれ。
端子をかしめるのとPVCチューブを通す順番を間違えないように
気を付けながら作業する。
ちなみにかしめ工具は汎用品を使ったが、
Molexはちょっとかしめにくかった。
メーカ指定のかしめ工具なんて目が飛び出るほど高いので
真似される方は汎用工具を気を付けながら使って作業してほしい。
通常のギボシなどをかしめるサイズのものと、極小端子をかしめる工具
2種類使った。
なぜ2個あるかというと、サポートライダーという名の人柱にもつけさせて
適合年式と耐久性の確認をするため。
純正ハーネスと比較
並べてみるとボリューム感の違いがわかると思う。
保安部品のためにこれだけ配線が増えているのだ。
そしてステム周辺はこの太い束を曲げ伸ばししているので
そりゃ断線するでしょうと。
あと、海外の配線は被覆が弱いような気もする。
劣化してモソッとちぎれているような。
なので今回は国産の配線で作ってみた。
取り付け
ステム回りがすっきりしているのが
おわかりいただけるだろうか。
ステムの脇を通るのがセルキル、ファンスイッチのみになったので
これならたぶんいくらハンドルをきっても断線しないだろう。
モトクロッサーなみにシンプルになった。
適合年式は?
クロトレの人に渡したところ線が違うのか?コネクタの形状が違うのか?
はっきりしないが取付できなかったと。
しかし制御系は一緒なのでなんとかなるとは思うのだけど
周りにクロトレ乗りがいないので確認できず。
なので、今のところクロトレは非対応としている。
RR2TはMY2020、2021は実績あり。2024あたりもパっと見同じ構成っぽかったけど
試したことないので不明。
モデルチェンジ前の2019とか2018も大丈夫っぽいけど未確認。
もし作ってほしい人がいたら
これだけ情報があれば作ろうと思えば誰でも作れるけど
やっぱり慣れていないと手が出ないという人もいると思う。
断線が発生して困っている人とか、トラブルを未然に回避したいけど
自分では作れない、という人は
Xのアカウントに連絡をいただければ相談に乗ることも可能なので
探してみてほしい。本件に限らず、他の製作部品などについても。
配線図を修正。
— おさだ (@OsadaKomuten) 2024年5月7日
自分のは自分の都合に合わせて
長さや割りなどを決めたが、
汎用的にするためノーマルハーネスの長さに
合わせた。 https://t.co/CHyfFLx3Y8 pic.twitter.com/ZApW3BywDC
おわりに
ということで今回も自己満足度の高い製作をしてしまった。
ハーネス断線で困っている同志も救うことができたし
世のためRR2T乗りのためになったのかなと思う。